「瀬戸内の鯛(たい)は本当に旨いですよ。身持ちが良いというか、身の締まり方が全然違うんです」四国ならではの食材についてお聞きすると、開口一番、そんな答えが返ってきました。その他にも、愛媛なら今治のアコウや南予のヒオウギ貝、東予のもち豚、久万のどんこ椎茸、高知なら赤牛をはじめ梨や文旦、徳島の鳴門金時や香川のホワイトアスパラガスなどなど…。
教えていただいた食材の中には、普段からスーパーで見かけるものから、初めて耳にするものまでさまざま。改めて四国の食の豊かさに気づかされます。「そもそも、日本ほど食材の多い国はないと思います。ヨーロッパよりも断然豊富。日本の中でも四国はまた独特で、同じ野菜でも山ひとつ越えただけで、全く味が違ったりします」。清家シェフは、フレンチだからと言って遠いヨーロッパから食材を輸入することはありません。例えば、今お店で使っているイタリア野菜は、今治の農家が作っているもの。土壌の悪いヨーロッパの野菜特有の強い苦みやえぐみが少なく、ちょうど良いやわらかな苦みになっているのだそうです。
良い野菜が入ってないかと、毎朝かかさず近くの産直店に行くという清家シェフ。「やっぱり地物はフレッシュだから味が違う。レタスなんかは手で割った時の音が違いますから。この辺りでは6月から7月になると上が緑で下が白い、太さのあるホワイトグリーンというアスパラが出るんですが、これも切り口からまだ水がしたたっているような鮮度の良いものがあります」手に取って確かめられないものを遠い国から輸入してくるよりも、目に見える食材を一番美味しい時に提供したい。それが、地産地消へのこだわりにつながっています。
ちなみに、良い野菜の見分け方を教えていただきました。「切り口がみずみずしいものが一番。新鮮なものほど水分が豊かです。あとは、虫が食っているもの。見栄えは良くないですけど、無農薬の証拠ですから。無農薬ということは、味が濃くてその野菜本来の味がちゃんと残っている、ということでもあります」。自分の目で見て美味しそうだなと思うものしか仕入れないという清家シェフにとって、地産地消はごくごく当たり前のことでした。

地鶏のムネ肉に四国のキノコを詰めた「ムネ肉のキノコづめ」。太いアスパラガスは、見た目にもフレッシュ。

五感をはたらかせながら料理を創作する清家シェフ。


